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    <title>おとぎばこ</title>
    <link>https://igotogi.kashi-hondana.com</link>
    <description>おとぎばこ・小説更新情報</description>
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    <copyright>Copyright ©2026 伽.</copyright>
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    <item>
      <title>親子 - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39852</link>
      <pubDate>Tue, 23 Jun 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[　セキュラトの中央部、何千年も前に難破した船の残骸、その船の沈んだ底の底に安置されているというヴァッサー像。
　それを海面上――雨風を遮る外壁に隔てられた、謂わばゲートとなる場所から守護せんと意気込む男がひとり。

「師匠、お久しぶりです」
「ん…？　おう、来たか」

　土地勘のあるヨウが先行して進み、中央の御坐へ続く道なき道の端に座していた男に声を掛ける。
　未熟であったが故に姉と離れ離れになった少年に、真の意味で戦う術を身に着けさせた人生の師、オーディウス。
　彼は神妙な面持ちで中折れハットを持ち上げて視界を広げ、弟子とその後に続く少女たちを一瞥したのち、膝に肘を着いて小さな嘆息を吐いた。

「珍しいですね。いつもならもっと豪快に笑って、俺を蹴り飛ばしてくるぐらいなのに」
「まあ、ちょっとな。今日ばっかりは、そうもいかないっつーか…」

　歯切れの悪い口振りに首を傾げ、ヨウは調子が狂わ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>海上都市セキュラト - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39851</link>
      <pubDate>Tue, 16 Jun 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[　煌素の乱れによって魔物と化した海洋生物の襲撃という波乱の航海が終わり、一行は夜明け間際にセキュラトへと到着する。
　巨大な船の残骸を中心地に置き、周辺を桟橋で繋いで、その間に支点となる家屋を建てたボードウォーク型の集落。
　そこで暮らす民は水の精霊ヴァッサーの庇護下にあり、自らを"水の民"と称している――
　東大陸に渡る際、南西のテンクラッズ方面から使い捨ての水上移動マシンを用いて移動してきたヨウ。
　彼にとって約二年ぶりとなる地は、時間帯も相俟ってか静寂に包まれていた。

「乗船おつかれさんっした！　西での旅、ヴァッサーさまのご加護があらんことを！」

　気のいい青年が敬礼と共に一行の無事を祈る旨の言葉を告げ、ニカが吃驚に目を見開く。
　それから実質的に水の民が大地と認識しているにも等しい桟橋の揺らぎを慎重に踏み締め、彼のような船乗りが精霊を信仰しているのは珍しいと感嘆を零す。

「あ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>水底より来たるもの - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39850</link>
      <pubDate>Tue, 09 Jun 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[　新見兄妹と別れたのち、ティレーゼルで船旅に必要なものを揃え、その足でセキュラトへ向かった一行。
　レデントーレによる妨害を受けた前回とは異なり、何の障害もなく夜の便に乗り、後は船が無事にセキュラトへ着くまで祈るのみ。
　同行する二人も含め殆どの乗員が眠りに就く中で、ヨウはどうにも寝る気分になれず、甲板へ出て夜風に当たることにした。

「流石に誰も居ない、か？」

　予想通りと言うべきか、やはり無人の独占状態。船体が波を掻き分ける音だけが静寂を支配した空間で、特段興味を惹くものもなく空を仰いでみると、そこには満天の星空が広がっていた。

「綺麗だな…」

　煌めく星たちを三日月が彩り、仄かな光が宵を優しく包み込む。見ているだけで吸い込まれてしまいそうなその景色に、少年は耳元で揺らぐ"かけら"を押さえる。
　すっかり忘失していた事実ではあるものの、リヒトは本来、南西のラグノールや忍びの里グリ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>迷い、それでも - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39849</link>
      <pubDate>Tue, 02 Jun 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[　港町と王都を繋ぐ街道に建てられた新興都市、ティレーゼル。シトレから難を逃れた住民を中心として、それぞれ学問と交易のふたつの産業を営む街へ、一行は西大陸フィワンズへ渡る前の最後の準備を整える為にやって来ていた。

「すごい。いつの間にか、こんなに栄えていたのね」

　商業区の光景を目にし、まず初めに驚嘆を漏らすのはニカ。"賢者の娘"として、あるいはガストール王家に遺された落胤としてか――
　チタニアの内戦以後、殆ど国内から出たことのなかった彼女は、同郷の者たちが生きる為に必死で造り上げた街並みに小さな感動を覚えていた。

「…？」

　賑わう街並みの中心から少し外れた場所で、ふと雰囲気のよく似た――否、身長こそかなり差があるが――男女が目に入る。
　彼らの隣には特殊な形の手曳き荷車が置かれており、格好もガストール国土ではまず見ることのない異質な着物。
　察するに、ほぼ間違いなくゾス・メイシ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>ふたりの"娘"、ふたつの"太陽" - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39690</link>
      <pubDate>Tue, 26 May 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[「あ！　やっと戻ってきた。あんまり遅かったから、今にも救援に向かわないといけないのかしらと思ってたところだったんですよ〜？」

　王都に到着して早々、門の前で帰還を待っていたらしいトトナが冗談交じりに笑んで一行を出迎える。

「適当なことを言うな。シトレに充満していた闇煌素が消えたことぐらい、王宮の水晶で確認出来るだろう」
「それはそれ、これはこれ。世界の根幹をひっくり返そうと暗躍している輩の存在が明らかになった今、道中で何に襲われるかもわからないでしょう？　あの玉だと、煌素の流れしか見れませんから」

　危険はなかったとすかさず反論するイリア。しかし、水晶による検知も万能ではないと返されてしまう。
　ここで再び激昂しながら無理矢理にでも部下を言い負かすのが彼女の常であったはずが、意外にも素直に引き下がり、トトナだけでなく仲間たちも不思議そうに顔を合わせるのだった。

「…はぁ。心配させた...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>意外な一面 - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39689</link>
      <pubDate>Tue, 19 May 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[「どう？　動けそう？」

　激闘を終えて、力を使い果たしその場にへたり込んだイリアへ、瘴気を祓いすっかり元気になったリヒトが問う。
　が、彼女はゆっくりと首を振り、消耗した体力が回復しきるまでにはまだ時間が掛かると返すのだった。

「…すまない。久しぶりに大技を撃ったせいか、まだ身体が震えているようだ。もう少し休ませてくれると助かる」
「そっかあ、ならしょうがないね。無理せず栄養補給したほうがいいよ。美味しいゴハンはヒトの煌素の巡りをよくするからね」

　精霊故の常人とは異なる感覚からの物言い、廃墟と化した街でそう都合よく食事にありつけるはずもなく。

「と言っても、携帯食料は飢えを凌げるってだけで、美味しくはないし…どうするか」

　少年が鞄から缶詰を取り出してはみるものの、二年は一人で旅をしてきた身としての目線から、それが魔力の回復に繋がらないことは一目瞭然。
　そこに何やら考えがある...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>滅びた街シトレ - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39688</link>
      <pubDate>Tue, 12 May 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[　レデントーレ追跡の旅を再開させようと意気込んだのも束の間、一行は廃墟となって久しいシトレの街を訪れていた。

「…酷い有り様だな」
「ええ…でも、私たちが前に訪れたときは、家屋までは崩れてなかったわ。やっぱり、各地で魔物が暴れ出しているという話は本当なのね…」

　凄惨な光景に思わず息を呑むヨウに、全面的には同意しきれないとニカが拳を握り締める。
　その細かな訂正こそがまさに、彼らがこの地に向かえと指令された理由――闇と火を司る精霊たちの喪失により世界の均衡が崩れ、煌素力を異常発達させた獣が魔物となって周辺地域に被害を及ぼしている結果に他ならなかった。

「果たして、その魔物は今どこに居るのやら。ここがシトレでさえなければ、片っ端から雷を落として更地にしてしまうんだが」

　沈鬱な面持ちを隠せない二人とは対照的に、戦闘狂の血が騒ぐらしいイリアは嬉々とした様子で周囲を見回す。
　城内で会議...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>少女の苦悩 - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39687</link>
      <pubDate>Tue, 05 May 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[　旅寓シュヴァルツェシルトの階下、密談をする仲間たちを待つニカの溜息がロビーに響き渡る。

「はぁ…強がってイリアにはああ言ったけれど、隠し事をされたままというのは、やっぱり少し淋しいわね」

　隅のソファに座して、遠慮と恐怖から席を外したことをほんの少しだけ後悔しつつそんな風に呟く。
　とはいえ、あの剣呑な雰囲気から察する限りは、ほぼ間違いなくリーフォンに関する話なのだろう――
　そう考えると、ネネルや彼女がひた隠しにする秘密を無理に聞き出そうという気分にはとてもなれず。

「あれ、ニカおじょーさまじゃん。やほ〜」
「トトナ？　何かあったの？」

　もどかしさを抱きながら周囲へ視線を右往左往させるしかない中に、気の抜けた明るい声が耳に入ってくる。
　イリアの部下の中では"エレジア"である唯一の女性、トトナ・キャテム。突出した特技はないものの、根性だけはあるトンファー使いで、副官として部下...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>覚悟 - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39686</link>
      <pubDate>Fri, 01 May 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[　ゼハリノで生き別れの姉スイと悲願の再会を果たすも、彼女は精霊殺しの大罪人"レデントーレ"の一味として、世界の再創世を目論んでいた。
　失意の中ヨウたちは一旦ガストール王都へと戻ることとなり、今後の身の振り方を再考する為にと一週間の猶予が与えられた。
　彼らが精霊殺しの所以として告げた"大切な人を蘇らせる"という目的は、同じ理由で心に傷を抱える一行の足を止めさせるには何よりも効果的なもので。

「…」

　城下町の宿シュヴァルツェシルトの一室で、イリアから贈られた画材を広げ筆を取るヨウ。
　七年経っても変わっていなかった姉の絵を描こうとキャンバスに色を載せていくも、双子が持つ紺色の髪よりも深い、暗澹たる黒へと染まっていくばかり。

「リヒト、やつら…レデントーレの言っていたことは…本当なのか」
「まさか。ボクたちが居なくなるどころか、二対の両方が欠けたが最後…あっという間に世界はめちゃくち...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>邂逅、レデントーレ - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39684</link>
      <pubDate>Fri, 24 Apr 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[「イリア！」

　多少の傷や通るべき経路も構わず一直線に下山し、落雷が発生した地点に辿り着いた一行。
　やはりと言うべきかそこには雷の専門家ことイリアが立っていて、過負荷によって生じた汚れを拭っているのが見えた。

「ん？　あぁ、お前たちか。どうだった、土の精霊様は」
「とりあえずは大丈夫。イリアも、思ってたより早く戻ってきてくれてよかった」
「そうか。なら、急いだ甲斐があったな。このまままっすぐゼハリノへ向かうぞ」

　彼女が次なる行先に指定するは、東大陸から海へと飛び出す為には避けて通れぬ港町。
　逆に、西からこちらへ渡って来る際にも必ず訪れる地でもあり、実際につい数日前そこに居たヨウはすぐにその情景を思い出していた。

「シーラさんにも会った。彼女が言うには、精霊殺しの犯人がノイザット山を訪れたのは一週間前のことらしい」

　休息を得たお陰か、多少なりとも機嫌の直ったロバの牽く荷車に...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>エルデとシーラ - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39683</link>
      <pubDate>Tue, 21 Apr 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[　ミカカ村で借り受けたロバに牽かれることおよそ半日。王国軍の専門家によって訓練された馬とは異なり、気難しく小柄なロバでは急行軍を耐えきれなかったのか、ノイザット山の麓でぱったりと足を止めてしまった。
　復路はあと三分の二ほど、一刻の猶予を争う現状では動物たちの機嫌が直るのを待つ時間すらも惜しく、焦燥に駆られるイリアは頭を抱える。
　しかしここで立ち止まり途方に暮れている訳にもいかず、渋々打開策を勘案し別行動を試みた。

「…仕方ない、手分けして動くぞ。私はこのまま本国に戻り、陛下や仲間に対応策を共有する。お前たちは精霊様と共にこの山を登り、土の精霊像が無事かどうか確かめてくれ」
「私は構わないけれど…大丈夫なの？」

　三人が離れることでまず真っ先に浮かび上がる疑問は、"かけら"から供給される煌素が分散した場合のリヒトの顕現体維持について。
　イリアのペンダントも重要な"かけら"のひとつで...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>火の精霊のもとに急げ - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39682</link>
      <pubDate>Sat, 18 Apr 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[　深夜の黒盾旅寓。二階の最奥にある、本来は複数人で使うような広々とした個室を独占して眠っていた少年は、耳許で騒ぐ精霊の声で目を覚ます。

「ねぇヨウ、起きて！　北の方の様子がおかしいんだ」
「あと五分…」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ！　早く！」

　寝起きの気怠さから無意識に駄々を捏ねるも、ハリネズミの背中が頬に刺さると共に微弱な電流が体内を駆け巡り、急速な覚醒を促される。
　慌ててカーテンを開け北の空を見ると、山を隔てた向こう側では、天まで届きそうな勢いの炎の嵐が巻き起こっていた。

「確かに、真夜中のはずなのに妙に明るいな…あの辺りは火の精霊が護っている地域と聞いたし、そういう自然現象がこの国にはあるんじゃないか？」
「違うと思う。遠いけど、フォコ姉とは違う火の煌素力を感じる…あれは間違いなく人為的なものだよ」

　奇妙な炎熱を火を司る精霊の膝元が故のものかという推測に、きょう...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>少年少女の安らぎ - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39681</link>
      <pubDate>Wed, 15 Apr 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[　治安維持を担う兵たちの尽力によって野次馬や暴徒たちがようやく散り散りになり、完全に騒動が鎮静化したと言ってよくなった頃。
　ヨウはこちらに向かう前に抱いていたとある違和感を思い出し、イリアにそれを伝える。

「！　そうだ、リヒトが…」
「確かに、王都に戻ってからずっと姿が見えないままだったな。私が離れ過ぎていたせいか？　あるいは、集まっていた暴徒どもの悪意にあてられていたか…」
「いや、実は…気配がなくなったのは、ここに来る前なんだ」

　疑念にすかさず同意を示し、様々な要因からリヒトが顕現し続ける為の煌素が不足しているのかと訝しむイリア。
　が、精霊が自ら姿を隠した――あるいは一時的にでも消えざるを得ないほどに消耗したのは、ネネルと邂逅した付近での出来事。
　どう好意的に解釈しても彼女のせいとしか思えぬ状況に、少年は申し訳なさげに眉根を下げて視線を向ける。
　すると、騒ぎが落ち着いたこ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>無実の罪を背負い歩む覚悟 - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39680</link>
      <pubDate>Sun, 12 Apr 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[「さあヨウ、行くわよ！」

　高揚に満ちた声で駆け出すニカ。しかしすぐにイリアが街の方を指し、その先に見えた人影によって、待ちに待った戦いは始まりすらせず中断せざるを得ないことがわかる。

「待った。ネネルが来ている」
「…ああ、あれだな。城の人か？」
「そうね…半分あたりで半分はずれ、といったところかしら」
「元は王宮務めの諜報員だったが、先の戦乱で片目に重傷を負って兵役を辞し、今は天涯孤独となったニカの保護者代わりをしている」

　制止を告げられたことにも冷静に、少しずつ近付いてくる人物を観察するヨウ。
　何も知らない状態でニカと姉妹だと言われたら納得出来そうな、いや全く似ていないと断じたくなるような色味の鋭利なシルエットをした髪型は、針をたっぷりと蓄えたサボテンを連想させる姿。
　諜報活動をするには些か目立ちすぎるという印象、けれど二人が共に信を置く相手だとすぐにわかる語り口に、彼は...]]></content:encoded>
    </item>
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      <title>実力は如何ほどか - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39679</link>
      <pubDate>Thu, 09 Apr 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[　食事を終えての腹ごなしがてら、それぞれの実力を確かめるべく手合わせすることになった三人。
　ニカが自身の得物を取りに家へと戻っている間、城下町を出てすぐの広原にて、まずはヨウとイリアが一定の距離を保った状態で向かい合う。

「じゃあ、始めよっか」

　なし崩し的に審判役を務める運びとなったリヒトが、彼らの立つちょうど中間地点にあった岩に座し、合図を出す。

「いつでも来ていいぞ。お手並み拝見だ」

　強者の余裕からか、先んじてイリアがそう告げる。彼女が扱う武器としては反り刃の短剣が腰に提げられているものの、それを構えると魔術の邪魔になると判断し、敢えて何も持たずに立ち続けていた。
　ある程度以上の実力者から見れば、この上なくわかりやすい隙。ヨウはそれを逃さず即座に踏み込み、勢いに任せ打って出る。

「なら、そのお言葉に甘え、て…ッ！」
「悪くない太刀筋だな。城の怠け者どもよりかは、よっぽ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>改めましてのはじめまして - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39678</link>
      <pubDate>Mon, 06 Apr 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[　城内から出てそこそこの距離を歩いた先、ニカ曰く隠れた名店である小料理屋に着いた一行。
　一通りの注文を済ませたのち、知り合って間もない自分たちが如何に彼を知らないかを確かめるように少年を一瞥する。

「そういえばイリア、あなた…ヨウにまだちゃんとした自己紹介もしていないわよね」

　料理も待たずに一人肘をついて酒を呷りながら、遠い目で他の客に目を向ける彼女を諌めるニカ。
　イリアは面倒といった態度を隠すことなく渋々こちらを向き、旅路に必要な最低限の情報のみを吐くだけで、そのまま今度は窓の外へと視線を逸らしてしまう。

「ガストール王国近衛隊隊長、イリア・フェレネント。歳は十八、肉は好きだが野菜は食わない」
「役職としてはあくまで護衛という立場ではあるけれども、実質的な王さまの懐刀になるわ」
「強さはうっすら感じ取ってはいたが…まさかそんなに偉かったとは」

　隣に座す少女からの補足を受け...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>城、王との謁見 - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39677</link>
      <pubDate>Fri, 03 Apr 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[「遅い」

　城門に着いて早々にイリアからそう言われ、傍若無人ぶりにも困ったものだと顔を見合わせるニカたち。
　いつの間にやら親密になっている二人を前に彼女は顔をしかめ、けれど軍人らしくすぐに気持ちを切り替え玉座の間へ歩き出した。

「なんだその笑みは、薄気味悪い…まあいい、陛下には既に話を通してある。すぐにでも来てくれとのことだ」

　とんとん拍子で迎え入れられている事実、周囲の兵士たちの慌ただしさも加味した上で、ヨウは想像していたよりも事態は深刻なのだと痛感する。

「よっぽどのこと…だからだよな、やっぱり」
「ええ、さすがにね。精霊さまが人前に姿を見せるなんて、何が起こったと言われてもおかしくないもの」

　胸元をきゅっと押さえ、ニカが不安を隠し切れず俯く。この世界にとって精霊とは根幹かつ天上の存在、そんな彼らが自ら動かざるを得ない状況など、そうそうあってはならないはずで。
　重苦し...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>目覚めたあと、街へ - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39676</link>
      <pubDate>Tue, 31 Mar 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[「姉さん――！」

　またあの悪夢か。視界には荒天の海ではなく朝焼けが広がっているのを前に、少年――ヨウは深々と息を吐く。
　それから己が魘されていた夢と現の境を明瞭にすべく大きく伸びをして、肌身離さず持っている剣の柄を握り締める。
　瞬く間にその剣を鞘から引き抜くや否や、目にも留まらぬ速さで振り下ろし、切っ先を正面へと突き出す。
　そうして何度か素振りを繰り返しては止め、やがて満足した頃、彼は滴る汗を拭うべく近場の切り株に腰を下ろした。

「…ふぅ。それにしても、久しぶりに見たな…あの夢」

　悪夢の始まりとも呼べるあの十歳の誕生日から、およそ七年が経過していた。
　姉とは離れ離れにこそなったものの、奇跡的に一命を取り留めた彼は、ラグノールからは遥か北東に位置する海上国家"セキュラト"に流れ着くこととなる。
　ヨウを救い、その後の五年間を育てた老婆――もとい祖母はしきりに『精霊様のお導き...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>幕間/いのち　の　顛末 - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39675</link>
      <pubDate>Fri, 27 Mar 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[　ラグノール近海、日光が辛うじて届くかどうかといったところの水深から水底へと、一人の少年が沈んでゆく。
　その姿を遠巻きに眺める影がひとつ。二柱の神の眷属にして、世界の根幹を司る精霊が一座、水の精霊ヴァッサーだった。

「…まったく。海が穢れるじゃないか」

　幼子の身体から流れ出る血を見るや否や彼は容赦なくそう愚痴を零し、異物を排するべく徐に近付く。
　しかしそこで精霊ヴァッサーは少年の左耳――正確にはそこに着けられたイヤリング――がほんのりと輝いているのを見つけ、それが弟こと光の精霊リヒトの加護による延命であると悟る。
　リヒトのもたらす輝きはひとつの命を繋ぎ止めようと権能を行使するも、かそけき光では少年を溺死させないだけで精一杯で。

「はあ…一つ貸しだぞ、リヒト」

　ヴァッサーはまるで友がその場にいるかの如くそう独り言ちて、少年を自身の権能によって作り出した薄膜によって包み込む。...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>夢の中で - Thears Theater</title>
      <link>https://igotogi.kashi-hondana.com/author/page/3012/section/39673</link>
      <pubDate>Tue, 24 Mar 2026 10:00:00 +0900</pubDate>
      <description>二柱の神と六座の精霊によって支えられる世界「シアー」。
光の精霊リヒトが守護を務める南西地区に位置する商業国家ラグノールにて、十歳の誕生日に何者かの襲撃を受け、最愛の家族と離れ離れになった双子の姉弟、スイとヨウ。
少年ヨウは父アルセルの遺した宝剣ティルヴィングと共に海上都市セキュラトへと流れつき、五年間暮らしたのち姉を探す旅に出る。
十七歳のある日、初めて訪れた東大陸の魔法大国ガストールにて、彼は一人の少女ニカと出逢い、そして――</description>
      <content:encoded><![CDATA[　濃紺の髪に翡翠の瞳。双子の姉弟スイとヨウ、二人はどこに行くにも常に一緒で、何をするにも必ず互いを伴う、まさに一心同体であった。

「誕生日おめでとう、ふたりとも。お父さまは早くに出てしまったけど、まずはわたくしから…あなたたちに贈り物をさせてもらうわ」

　西のフィワンズ大陸から少し外れた地にある商業国・ラグノールのとある武器商人の元に生まれた彼らは、齢十を迎えた朝、揃いのイヤリングを母から与えられることとなる。

「片耳ずつ？」
「ええ、とても貴重な素材で作られていて、世界にふたつとない代物と言われたわ。でもそのイヤリングには光の精霊…リヒトさまの加護が込められている、本当に特別なものだそうよ。できる限り肌身外さず身に付けて、大事にしてね」

　姉スイは右耳に、弟ヨウは左耳に。母はそれぞれ子供たちの耳にイヤリングを着け、精霊へ向けて祈りを込めるべく手を組む。
　その瞬間、姉の目には弟の...]]></content:encoded>
    </item>
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